マブラヴ オルタネイティブ

18時〜22時の4時間。トータル30時間超にてエンディング到達。
値段分は十分楽しんだけど、ストーリーが一本道なので繰り返し遊ぶことはないかな。
以下、ネタバレ込みのストーリー感想の覚え書き。


入隊〜総戦技演習まで。
主人公視点で物語を見るので、やっぱりタケルが優位に居る上で話が進むのは楽しい。前作アンリミテッド編との対比も面白いし、タケルが未来を変えようと模索しながらポジションを確率していく過程が丁寧に描かれているのも良い導入。前作では物語の折り返し地点になった総戦技演習もタネが割れている状況で難なくクリアしてしまうのが呆気ないながらも、ここからの話の盛り上がりを期待させたれる。


戦術機操縦訓練〜新OS開発〜エクストラ世界への干渉。
榊・彩峰コンビの取り持ち、HSST落下事件、天元山噴火事件と立て続けのイベントが全部スルーされるのが痛快。着々と歴史を変えているのが解り、最悪の未来を回避できている手応えも感じられる。さらにタケルの発案による新OSの開発。前作では実は戦術機ほとんど出番なかったので、こーいった部分でタケルの才能が掘り下げられるのも嬉しい。
エクストラ世界への干渉では前作からの伏線がようやく解消。しかしこんなに簡単に世界間を移動してしまえるのが拍子抜け。アンリミテッド編での最大の懸念「どうやって元の世界に帰るのか」が陳腐化してしまった印象もあり。


12.5事件。
いろいろ順調に進んでた矢先に水を差された感じは確かに。国云々は作品にとってあまり重要なテーマじゃないと思うんだけど、結構時間を掛けて丁寧に描写する。207分隊の戦闘面での活躍もほとんど無しでちょっと退屈な章だった。ただ207分隊メンバ各人の精神的成長を描く上では欠かせないエピソードだったとも思う。


任官〜戦術機トライアル〜「元の世界」への逃避。
訓練期間の終了とともに神宮寺軍曹が下の階級になるのが感慨深い。辛い事件を乗り越えたタイミングということもあり、一人一人挨拶するシーンは感動した。そして念願の任官、トライアルでの新OSの好評と持ち上げておいて急転直下の展開。物語開始当初から確固たる信念で以って行動していたタケルのあまりにも大きすぎる挫折。平和な世界へ逃げて救われるならそれで良いんじゃないかと感情移入してしまう。この辺りはプレイしてても辛かったなあ。


「この世界」への帰還。
で、逃げ出した先でも逃れられない悲劇。いや、それ以上の残酷な未来を迎える世界でのタケルの復活。全てを救うために立ち上がるこのシーン、夕呼先生から送り出されるシーンはようやくこの物語の本当のスタートを予感させる。守るべきもの、戦う理由。これまでタケルを悩ましてきたものがここに至って揺るがないものとなる。この展開は燃える。
あと前作プレイ時に思っていたことがこの章で明言されたのも印象深い。アンリミテッド世界での記憶を持ったままエクストラ世界に戻っても、多分タケルは幸せになれない。価値観を揺さぶられ過ぎてるので元の生活には戻れないと思ってたけど、正にそういう話の流れになったのでスッキリした。


00ユニット調整〜A-01部隊への着任〜伊隅大尉による座学。
決意を固めて戻ったタケルに新たな試練。ここからはオルタネイティブ4に関する謎が明らかになると同時に、特殊部隊への編入から大規模作戦への参加等、一気に戦いが本格化する目まぐるしい展開。
BETA固体種やハイヴの構造の説明等、設定紹介なんだけど劇中でも講義形式をとっているので比較的すんなり飲み込める。ただ詳細説明を受けたことでBETAという未知のものに対する恐怖心が薄れた感じ。戦術機の10倍の大きさがある固体や、水平線上の目標を撃墜するレーザーを発射する固体等、漠然とその脅威だけが知らされた時の方がインパクト大きかったなあ。まあここからは本番の戦闘があるから、攻略法とかの情報も戦局の描写に必要なんだろうけど。


甲21号作戦。
任官後、初の大規模作戦。正直「オルタ」でもこういったBETAとの大きな局面での戦闘シーン、いわゆる戦争シーンは描かれないと思ってたので良い方向に期待を裏切られた。人間相手だと12.5事件のように心理戦や利害に基づく駆け引きなどが描けるのだろうけど、BETA相手の城攻めが見られるとは思わなかった。ここで座学で習ったレーザー級の脅威、突撃級の特性などが早速活かされるのが上手い流れだなあ。
さて、この章で最も印象に残っているのは二点。一つはタケルの単独陽動、もう一つが速瀬中尉の見事なまでの即断即決の采配。前者は恐らく全編通してタケルの天才ぶりが最も発揮された場面。単独で要塞級20体以上を仕留める奮闘ぶりには痺れる。で、後者は個人的に水月というキャラを再評価してしまうくらい印象に残っている。タケルが陽動を志願する時、「二機編成が原則である」と冥夜も志願するけど、それは即「却下」と捨て、次の台詞が「行け白銀!」という即決ぶり。緊迫感のあるシーンでも悠長にお喋りする機会の多い本作で、この水月の決断の早さはかなり印象に残っている。「君のぞ」では女々しい役回りが多かった彼女なだけに、ここで目的達成の優先度や部下への信頼などを計って勇気ある決断をするのは格好良すぎる。「オルタ」で水月株が急上昇です。


純夏への告白〜国連横浜基地防衛戦。
前作から引き継いでいる分については恐らく最後となる伏線。「この世界」におけるタケルと純夏の顛末。うーん、ここで無理にエロ要素入れる必要は感じなかったのだけど、BETAが人類の肉体的快楽を調査して何するのかは最後まで明らかにならないし。これなら素直に受精させて母体にするとかの方が辻褄は合った気がする。
最終決戦に向けた段取りは順調に進んでいるのに、ここに来てBETAの奇襲。しかも陽動や用兵術などの「戦術」を初めて見せられる驚愕。これは恐い、確かに。数十年掛かって、人類の80%と地球の半分近くの領土を失ってまで培ってきた対BETA戦略のほとんどが無効化するというのは恐怖以外の何者でもない。基地の防御は手薄にも関わらず、主要メンバの挺身もあって何とか防衛に成功。水月の最期は潔いものだったけど、遙は可哀想だなあ。


桜花作戦。
満身創痍の状態から一発逆転の目があるのか否か。結論としては他に選択肢がない状況だったのだけど。前作プレイ当初から、BETAとの戦争についてはキチンと最後まで描かれないと思ってただけに、オリジナルハイヴ攻略作戦まで描かれるというのには驚き。タケルの因果導体の伏線ももしかしたらここに結び付くのか?と予想したり。
新型OS搭載の武御雷×5機の護衛とは言え、中隊単独での敵施設最深部への侵攻というのは少しご都合主義もあると思うけど、まあそれは良しとして。圧倒的物量を誇るBETA相手では消耗戦になるのは仕方ないよなあ。仲間が死ぬのはもう半ば予想できたので、後はどれだけ潔い死に様を見せるかに手に汗を握った。
榊・彩峰はここまでずーっと和解しないまま来てただけに、最後の連携は格好良かった。たまは死に際の精密射撃という最高の見せ場を貰ったし、美琴は最後に彼(?)らしくないスタンドプレーと饒舌ぶりに驚かされた。結局、世界が幾度ループしようと207分隊メンバの想いは一つなんだなあ、と。
最後、冥夜はちょっと喋り過ぎ。純夏の想いは泣けた。罪滅ぼしという意味もあるんだろうけど、別世界のタケルとの別れが待っていることを考えると幾らもない余命を惜しんでも仕方ないという悲壮な決意も伺える。霞、そこは明言しなかったね。
タケルは守るべきものは最後まで守ったし、この狂った世界で出来るだけの貢献はしたと想う。しかしA-01部隊のほとんどに加え00ユニットまでをも失って、この後のBETAとの戦闘は予断を許さない筈。ラストで下手にBETAとの意思疎通があったものだから、先は気になるところなんだけど、それはまた別の話になるのかなあ。


マブラヴ
これだけ壮大な物語なんだから、最後が大団円じゃないと嘘でしょう。
しかし以前に増して過酷を極めるタケル争奪戦の模様はハッキリ言って面白そうにも度が過ぎる。エクストラ編のアナザーとして発売されるなら購入してしまいそうだ。美琴がさりげなく女の子になっているのとか笑える。実は元々女の子だという説を信じているけど。
並列世界において、生きて望みを叶えることが出来なかった人達は確かに居るのだけど、それでも白銀武の物語としてはこれ以上ないくらいのハッピーエンド。「オルタ」単品で見た場合の賛否はいろいろありそうだけど、「マブラヴ」トータルとしての満足度は決して低くない。やっぱ最初のエクストラ編こそがこの作品の持つ面白さの本質を突いていることが再認識できたとゆーことで。